菅垣ってなんだろう?其の十 ~曙菅垣 其の二~

今回は、「北陸 ぶら珍尺八旅 其の四 ~國泰寺 其の四 國泰寺伝曲其の二 三谷・突引~」で扱った「突引」について考えていた際に気がついた、二世荒木古童が移入して現在は琴古流本曲扱いとなっている「曙菅垣」についてです。 ●曙菅垣 曙菅垣については「菅垣ってなんだろう? 其の一 ~曙菅垣 其の一~」や「琴古流の尺八 其の八 ~荒木竹翁・山崎竹隠~」などで既に触れており、國泰寺伝「突引」の…

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北陸 ぶら珍尺八旅 其の五 ~國泰寺 其の五 國泰寺伝曲其の三 突引~

今回も前回の続きで、国泰寺伝曲とされる曲群の内の「突引」についてです。 ※“ぶら珍”はぶらり珍道中の略だそうです。 ●突引 國泰寺伝の独自曲とされる「突引」を見てみます。 ・「突引」 『大本山国泰寺 法竹口伝譜』 国泰寺独自の曲とされていますが、同じ曲が他所にも伝わっているので掲載します。 ・「北國鈴慕」 勝浦正山譜 京都の勝浦正山による一派、明暗真法流の曲。曲…

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北陸 ぶら珍尺八旅 其の四 ~國泰寺 其の四 國泰寺伝曲其の二 三谷ほか~

今回は「北陸 ぶら珍尺八旅 其の三 ~國泰寺 其の三 國泰寺伝曲其の一 蓬莱~」の続き。国泰寺は虚無僧寺では無くいつ頃から伝わったものか不明ですが、國泰寺伝とされる曲があります。今回はそれらの内、「三谷」などを扱います。 ※“ぶら珍”はぶらり珍道中の略だそうです。 妙音会本部発行の『法竹口伝譜』には琴古流・都山流両流記譜で琴古流・錦風流・海童道曲や神如道生曲、「阿字観」や「神保三…

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北陸 ぶら珍尺八旅 其の三 ~國泰寺 其の三 国泰寺伝曲其の一 蓬莱~

今回は「北陸 ぶら珍尺八旅 其の二 ~國泰寺 其の二~」の続き。国泰寺は虚無僧寺では無くいつ頃から伝わったものか不明ですが、國泰寺伝とされる曲があり、今回はそれらの内、「蓬莱」を扱います。 ※“ぶら珍”はぶらり珍道中の略だそうです。 ●蓬莱 國泰寺の開山忌にて誦経と共に吹かれる「蓬莱」を聴いた際、これは勝浦正山の「三ン谷」、「陀羅尼」じゃないか、と思いました。前々から「蓬莱」と…

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上方の尺八 其の十八 ~勝浦正山 其の二 『明暗古傳本曲眞法流音譜』~

今回は「上方の尺八 其の十七 ~清頂軒宗閑と天元普玉 其の三 行三虚霊~」に疑問を書いた『勝浦正山遺譜』関係です。当該記事に、 「相良保之氏はCD『明暗真法流本曲全集』解説書P42~43「真・行・艸(草)『三虚霊』」に、 『行『三虚霊』は、蘭斎の『當流尺八目録』と尾崎真龍譜(全四十五曲)には無く、真龍の直弟子・勝浦正山の明暗真法流譜(全六十二曲)だけに見られる曲譜で正山の作曲ともされるが、正…

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北陸 ぶら珍尺八旅 其の二 ~國泰寺 其の二~

今回は前回の続きで富山高岡の國泰寺についてです。 ※“ぶら珍”はぶらり珍道中の略だそうです。 ●國泰寺と普化宗 さて、気になるのは國泰寺と虚無僧の関係です。國泰寺公式ホームページには「明治二十五年、虚無僧尺八の妙音会設立され、法要の時には読経と法竹(尺八)の合奏という独特の習慣があります。」と書かれていて五十五世雪門玄松の頃。明治十四年(1881)の東福寺火災から復興費用を勧進…

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北陸 ぶら珍尺八旅 其の一 ~國泰寺 其の一~

今回は前から気になっていた富山高岡の國泰寺周辺についてです。開山忌に合わせて、六月二~三日に出かけてみました。 ※“ぶら珍”はぶらり珍道中の略だそうです。 ・越中国分へ 六月三日の國泰寺開山忌は午前十時からで、姫路からは始発でも間に合いませんので前日二日に出発。「西園流の尺八 其の四 ~無相流棚瀬栗堂 其の一~」の「その他棚瀬についての記述」中、『三曲』第百六十三号(昭和十年十…

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関東 ぶら珍尺八旅 其の二 ~観念寺・東陽寺 其の二~

今回は「関東 ぶら珍尺八旅 其の一 ~観念寺・東陽寺 其の一~」の続きで、東陽寺の探墓行です。前から気になっていたのですが、神田可遊師に色々と資料を提供いただいたのもあって、三月三十日に出かけてみました。 ※“ぶら珍”はぶらり珍道中の略だそうです。 ・受楽庵へ 大王寺から、県道375号西宝珠花屛風線を北上し県道42号松伏春日部関宿線、県道383号惣新田幸手線を歩いて東陽寺歴代墓…

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上方の尺八 其の十七 ~清頂軒宗閑と天元普玉 其の三 行三虚霊~

今回は「上方の尺八 其の十六 ~清頂軒宗閑と天元普玉其の二~」の続きで、『宗閑流尺八唱歌集(仮)』収録の「行三虚霊」についてです。神田可遊師より宗閑筆譜掲載の同曲譜について示唆いただいたので、今回の内容となりました。 ●行三虚霊 『宗閑流乱曲本手一部(仮)』に収録された「行三虚霊」は、蘭斎の『當流尺八目録』と『尾崎真龍筆譜』には見えない曲名で、『勝浦正山筆譜』には同名曲があります。先…

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関東 ぶら珍尺八旅 其の一 ~観念寺・東陽寺 其の一~

今回は探墓行で、観念寺・東陽寺の歴代墓碑についてです。前から気になっていたのですが、神田可遊師に色々と資料を提供いただいたのもあって、三月三十日に出かけてみました。 ※“ぶら珍”はぶらり珍道中の略だそうです。 ●観念寺歴代墓碑 東武スカイツリーライン春日部駅から関宿中央ターミナル行バスに乗って30分ほど、西宝珠花を目指します。発車して10分ほどのイオンモールで乗客は皆降りて目的…

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上方の尺八 其の十六 ~清頂軒宗閑と天元普玉 其の二~

今月はバタバタしていますので短めに、「上方の尺八 其の十五 ~清頂軒宗閑と天元普玉 其の一~」の続編で、度々名前の出る「當流尺八目録」(文化十四年《1817》)の筆者、蘭斎についてです。神田可遊師より、宗閑筆譜と蘭斎の関係を思わせる資料について示唆をいただいたので、今回の内容となりました。 ●蘭斎 『虚霊山明暗寺文献(全)』(塚本虚堂 昭和12年3月)の附録に、蘭斎について書かれてい…

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(PR)桜花の候

厳しい寒の戻りで随分と遅くなりましたが、いよいよ花見の季節がやって来ましたね。 今回は演奏会の御案内をさせて下さい。 2014年から細々と続けている尺八古典本曲の同人会「尺八古典本曲断片」の通算十八回目を開催いたします。 今回は番外編其の二で「近現代尺八古典曲断片」というテーマ。今までとは少し趣向を変えまして、大正から昭和末までに現われた独奏から多重奏より、時代の空気を感じさ…

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一節切 其の九 ~原是齋 其の二~

今回は「一節切 其の八 ~原是齋 其の一~」の続きで、『隔蓂記』から壽恩(是齋)の出て来る記述を拾ってみます。 先ず、『隔蓂記』とその筆者について。『隔蓂記』は鹿苑寺(金閣寺)の住持で寛永二年(1625)に相国寺九十五世住持となった鳳林承章が寛永十二年(1635)八月二十一日から寛文八年(1668)六月二十八日まで三十四年間に渡り書いた日記。鳳林承章は勸修寺晴豊の六男で、宗勲が勅命により銘…

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上方の尺八 其の十五 ~清頂軒宗閑と天元普玉 其の一~

今回は上方の尺八名人、清頂軒宗閑と明暗寺二十七世天元普玉についてです。宗閑筆の譜本を入手しましたので、感動冷めやらぬ内に書いてみようと思いました。 ●『宗閑流乱曲本手一部(仮)』 題簽が失われていて本来の書名は不明、タイトルは内容からの仮名です。兎に角虫食いが酷いのですが収録曲目などは、 開宗根源三虚霊明暗的傳秘曲  一   真霧海篪  二   真嘘鈴  三   真虚空 …

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奥州の尺八 其の三十ニ ~仙台其の五 奥州ぶら珍尺八旅 白石の武縁寺~

昨年十月二十五日から二十九日にかけて、仙台での「能‐BOXゼミナール2023」を主目的として仙台を中心に巡りました。忘れる前に一寸まとめておこうと思います。 ※“ぶら珍”はぶらり珍道中の略だそうです。 ●神田可遊師宅 二十五日は埼玉県南部の神田可遊師を訪ね、稽古をつけていただきました。宮川如山先生伝曲のニ回りめで「九州鈴慕」「秋田清掻」「轉清掻」(坂口鉄心先生旧蔵如山筆譜の記載…

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関西 ぶら珍尺八旅 其の二 ~桜井・京都 其の二~

今回は「関西 ぶら珍尺八旅 其の一 ~桜井・京都 其の一~」の続きです。 令和五年六月十一日の虚無僧研究会総会の際に、小菅大徹師から畑凡鳥と塚原玉堂の墓所資料をいただきました。内容は坂口丈夫という方からの写真を含む調査報告と、それらについての塚本虚堂先生との通信文を纏めたもの。何れも昭和四十七年春~夏のものです。坂口丈夫氏は昭和四十四年頃「古尺八道の会」を主催し、塚本先生の教示で旧明暗寺門弟墓…

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厳冬の候

年初から大変恐ろしい事態事件が続く不安の年明けとなりました。小正月も過ぎ新年の挨拶には大分遅いのですが、本年も何卒宜敷く御願い致します。 昨年末は「尺八古典本曲断片 其の什陸 津軽」に気を取られて、当ブログの方が疎かになっていました。資料整理が追いつかず急激なスピードアップは難しいのですが、今年はもう少しフットワーク軽めで進みたく思います。 尺八本曲は歌詞の無い民謡と考える私…

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歳晩の候

本年も色々と有難う御座いました。 先日の同人会「尺八古典本曲断片」も、何故か今までで一番の盛況で驚きました。 また、この少しふざけたブログを読んで下さっているという方に色々お会い出来、ちょっと意外で、かつ嬉しく思いました。新年もこんなノリで続けて行きます。あまりお怒りになられない様に。 バタバタで全然進みませんでしたが、新年は先ず奈良京都探墓行の続きで、その次は十月末の…

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関西 ぶら珍尺八旅 其の一 ~桜井・京都 其の一~

本年6月後半に奈良の尺八家、薮内洋介氏から御連絡をいただいていた古い尺八人の碑と、同じ頃に虚無僧研究会会長の小菅大徹師からいただいた資料に書かれた京都の尺八人墓所の今を確認したく思い、11月26~7日にブラリと出かけてみました。忘れる前に一寸まとめておこうと思います。 ※“ぶら珍”はぶらり珍道中の略だそうです。 ●善法香風碑 26日は桜井にて薮内氏に御案内いただき、善法香風とい…

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(PR)向寒の候

夏を過ぎても暑い日が続くと思っていたら、急に冷え込んで鍋と燗酒が恋しくなって来ましたね。 今回は演奏会の御案内をさせて下さい。   2014年から細々と続けている尺八古典本曲の同人会「尺八古典本曲断片」の十六回目(番外編があるので実は十七回目)を開催いたします。 今回のテーマは「津軽」。 明治維新まで津軽は尺八の最北端で武士達に愛好され、藩主が尺八を学ばせに藩士を江戸へ派遣した…

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